一月二十八日(月)

 8時に起きてベーコンエッグをつくる。少し早く起きたので神島二郎の『近代日本の精神構造』を読んだ。神島の〈第二のムラ〉論は結局、都市部において秩序を維持する際に、匿名性にもとづいた都市ならではの秩序ではなく「ムラ」のようなメンタリティの閉鎖的な集団によって秩序が維持され、それが天皇ファシズムを下支えしているという話である。ファシズムの存立基盤は別にしても、都市部が基本的に秩序を解体しうる空間として一貫して捉えられていたり、都市が競争を煽る場所であるという視角は、妙に説得力があった。同時代的にもそういうふうに看取されていたという一次資料をそれなりに読んだからかもしれない。都市論としての面白さがあった。神島が柳田から何を受け継いだのかも気になる。

 大学では佐倉先生にメールしたり地理学史の論文を読んだりしていた。地理学は戦前からさまざまな学問に応用される可能性がある一方で、自らの学問体系を構築する危機に直面し、教員のみを輩出していたという記述に地理学の構造を感じる。その途中、杉山さんと話しているときに「エレクトーン」を上達するということの不思議さについて思いをめぐらせた。

 学環の図書館で読んだ吉見先生の修論は、手書きの3巻1300頁超えで謎の迫力を有していた。明日はダンボールの映画を見にいくことにする。

 中川