八月四日(土)

7時起きで本郷に出る。研究室でパンを食べてから法文二号館へ。今日は「100人の本郷」である。チャーリー君と合流して受付を済ます。京ちゃんにも声をかける。

写ルンですを配布され本郷の街に繰り出すけれどしばらくテーマが思いつかない。チャーリー君は非直行交差路を撮っている。本郷の私的な思い出をテーマにしようとも考えたけれどもやめて、建設作業現場を撮ることにした。自分にとって歴史伝統の街である以前に人が動き続ける街だから。

西片の辺りから歩き始めて、結局神田明神にまで行って秋葉原でそばを食べ、湯島を通って帰ってきた。4時間ほどの街歩きだけれど暑さと坂道でくたくたになった。

打ち上げにFAROに行って冷茶と無花果のケーキをいただく。コモンズに戻ってきたら梅田君とs君がいたので4人で無駄口をたたいた。

18時ごろにチャーリー君と別れてs君と根津に下る。言問通りを下ったところのイタリアンで夕食をとる。昨日のメディアとしてのミュージアム集中講義の打ち上げで水越先生と三河内先生とした話をする。

認知症の人が人生を「巻き戻し」過去の日々を生きるようになる時、その人がかつて押さえ込んできた苦しさがフラッシュバックしたり、生活の張り合いがなくなったりすることでPTSDになることかあるらしい。いまの苦しさを「そのうち終わるから」と耐えることは苦しさに蓋をするだけで、死ぬ間際になって蓋が外れたらまだその苦しさは存在している。結局、いま幸せにならないといけないんだ。だから、苦しい状況に見切りをつけ新しい選択肢を取れるようになるためにも趣味という観点は大事だ、という話。

美しく死ぬためには今を美しく生きねばならない。耐え忍んでパンを食べても、一輪のバラがなければ人間の尊厳は損なわれる。

杉山