五月二十九日(火)

七時に起きてシャワーを浴び、化粧をする。
お湯を沸かして、土鍋で三合のお米を炊く。
味噌汁をのばして、ほうじ茶を注ぎ、納豆と一緒に朝ごはん。
 
健太郎もご飯を食べつつギリギリまで家にいる。
今朝、黄色いきゅうりの花が咲いた。
花を愛でているだけであっという間に15分経つので、
「はっ、タイムスリップしてた」とかなんとか。
 
コーヒーを沸かしてメッセージを片っ端から返す。
 
オレンジのワンピースを着ていつもと違うイヤリングをつけると気分が上がる。
行くところは歩いて2分の図書館だけれども。
 
すぎにゃもの「行ってらっしゃい」に応えて、「すぐ帰って来るけど」と付け加えた。
 
やっと念願の図書カードを作る。保険証だけでできたんや。
イギリスにまつわる本を片っ端からあたる。コンパクトな図書館。
司書のお姉さんが親切で、小動物みたいで、好ましい気持ちになった。
 
帰ると一平さんが今日も野菜の皮やセロリを煮込んでいる。
お昼に冷蔵庫の試作品をもらった。
スープ状の、鶏肉と人参がごろごろしたカレー。玉ねぎはみじん切り。
 
 
掃除機と雑巾をかけて考え事をする。
シェアハウスはいつも「みんなの家」だから、汚くなった時のストレス値はそこまで跳ね上がらない(気にはかける)。
最終的に「まぁ、しゃーない」って感じだ。
 
一人暮らしや二人暮らしの時は違った。物の多さやホコリが精神に侵入して来る。
加えて、「そこに対処するのは私しかいない、又は私とあなたしかいない」感。
う〜ん、辛い。
 
また暮らしを変えた時、今とは多少の変化があるだろう、ということに思い当たった。
というか思い出した。そのことに若干ホッとする。
できるだけ大らかで、心地よくいたい。これは心のスペースとも密接に関係してる。
 
 
あっという間に時間が過ぎた。やっぱり私もタイムスリップか。
シューマッハ・カレッジに行くチームの、今後の見通しを支援者に伝えるため、スケッチブックへビジュアルに落とす。
よいしょっという感じ。描き始めるとのってくる。
 
我が家で開く映画の会が夜にある。時間が迫るので焦る。
とにかくご飯と味噌汁の出汁の準備を始める。
やっとこさスケッチブックをスキャンして、データを送る頃にはもうみんな来ていた。
 
 
オマールの壁。パレスチナ自治区の若者たちの話。
私たちと同じように恋愛し、学び、働き、それでもこんなに違う。
人に翻弄され、出口のない騙し合いと疑い。それが、命が奪われるレベルで行われ続ける。
どうしてこんな。ここに正義なんてまかり通らないことは一瞬でわかる。
私がそこに居たら、いかに賢く騙して身を守り、大切な人を守るか、そこに日常を注ぎそうだ。
主人公オマールとなんら変わらない。
 
同意も求めず、結論も出さず、ただただ、感じ思いつくことを言葉に出し合う時間。
おかげで、自分の中にあるいくつもの輪郭に触れられた。
 
 
今日のチェックアウトはお互いの存在に感謝した。
 
満月。
 
ゆり