五月十二日(土)

 いつものごとく昼前に起きて紅茶を飲みパンを食べる。泉屋のクリームパンがほんまに好きなので毎日食べている。食べ終わって身支度をしたら本郷へ。UTalkのマネジャー業務。「My City Forecast」を使った都市計画の話を聞く。住民参加型のまちづくりワークショップは多くの場合、模造紙+ポストイットを使い夢見がちなビジョンを列挙するだけで終わる。ところが、ワークショップに人工物としてMy City Forecastを組み込み、都市計画によって40年後の地域の人口がどのように変化するのかを可視化すると、まちづくり政策への賛成意見も反対意見もはっきりと増えるそうだ。夢見がちな議論が一気に現実的なものになってくる。大変面白い実践だ。
 ちなみに、田端新町一二丁目エリアはこのままの都市構造に何も手を加えなかった場合、2015年で2589人の人口が250人(10分の1)になると予測されている。より広域に目を転じると、田端の崖上の方は、2989人から1092人(3分の1弱)の減少である。かなり詳細にエリアごとの差異が現れている。崖上と崖下の住民が参加したまちづくりワークショップが開かれたら、確かに紛糾しそうだ。
 
 UTalkを聞いている時はいつも「自分の研究の話はどうやったらできるだろう」ということを考える。今日はレゴのミニフィグを大量に持ってきて、密集させて配置しコミュニティを、拡散して配置しネットワークを表現するのはどうかと思いついた。中原先生が『ダイアローグ』の挿絵で使っていたようなイメージ。ミニフィグならばその場で動かせるので、コミュニティ間の移籍や、ネットワークとの出会いも表現しやすい。
 そこで八重洲に出てレゴストアを訪ねる。だが、ここで気づいたのはミニフィグは単価がかなり高い。単体で420円する。ミニフィグだけのセットというのもないので、一番値段あたりのミニフィグ封入数の多いセットを見繕って買ってきた。本当は昔のレゴのシンプルなミニフィグが欲しいが、パーツ買いしないと入手困難だろう。
 
 家に帰ってきて調査のアポ取りをし、『コミュニティ・アーカイブをつくろう!』を読み進め、共同研究のデータ分析をする。まりもくんがいたので分析を見てもらい、アドバイスを受ける。出てきた変数間の「有意」な関係に対して、その関係は常識的に解釈可能かを問い、媒介変数がないのか示唆され、蒙が啓かれる。ありがたい話である。こうやって解釈可能なモデルを扱う手つきを見ていると、量的/質的のような議論が本当にくだらないことがよく分かる。
 
 杉山