五月九日(水)

 いつものごとく昼前に目覚める。パンと紅茶を口に入れながら、Rで共同研究のデータ分析をする。大変面白い結果が出たとぬか喜びしていたら、選択する列を間違えていた。正しい結果の方は解釈はしやすいがあまりインパクトのないものだった。
 天川さんと焼き肉屋のランチを食べた後、本郷に出てヴァナキュラー文化論。授業後はいくつか事務作業をして帰ってきた。
 sくんとマルエツに買い出しにいって鍋をつくっているうちに稲葉さんがやってきて、みんなで鍋を囲む。職場のこと、研究のことを話し込む。本棚を見せている時に「この中から自分の研究にとって一番大切な本はどれ?」と尋ねられて、直感的に『暇と退屈の倫理学』と『断片的なものの社会学』を手に取った。ふたつとも論文で引用するという意味での「先行研究」ではない。けれども、必ず退屈するからこそそれを受け止め気晴らしを続けることにこそ人間らしさがあるという思想と、ごく日常的な生活のなかにある気晴らしを採取していく方法は、根源的なところで自分の研究を支えている。
 23時前頃に稲葉さんが席を立つので次の東京を歩く会に誘うよとお見送りする。その後はsくんと梅の湯に入ってきて、帰りの道中に調査のあてがまた断られる連絡が来る。遊びはいろいろやりたいことが思いつくのだが研究は進まない。共同研究ももう少しちゃんと分析できたら良かったのだが。明日のミーティングで何と言われるやら。

 杉山