三月三十日(月)

12時に起きた。寝過ぎたな。紅茶を飲んでパンを食べる。

博論第1章をようやっと閉じられそうな段階に来ている。ポジティブ心理学が検証した趣味の価値を享受することは、しかし余暇研究(レジャーキャリア論)が発見した「興味を失う」という趣味の断念の可能性によって、必ずしも成し遂げられない。それを成し遂げるための実践知(工学的知)は、心理学や社会学を背景にしたこれらの研究ではなく、むしろ興味の発展を扱う学習科学から生み出しうる。もちろん既存の学習科学にとって趣味は趣味そのものを支えるために研究されるというよりも、科学教育を始めとした教育目標を実現するための研究対象であった。だが、学習科学において用いられてきた視座は、ポジティブ心理学や余暇研究から引き出された趣味の問題のために趣味を研究するのにも有用だと考えられる。具体的にどのような視座が有用なのかは第2章で興味発展の社会文化的アプローチとして示す――という流れになりそうだ。

池尻さんがよく「この博論のどこらへんが学際なんですか」と聞いてまわっているが、自分だったら「ポジティブ心理学と余暇研究から引き出されるがそれらの分野では解決できない問題を学習科学を使って解く」という答え方をするだろう。

昼過ぎに自転車に乗って本郷へ。出勤表を提出する。キャンパスには普通に入れるし、研究室ではM2修了のお祝いをしていて驚いた。先生も来ていたし、自粛どころかいつも通りの人手だった。在宅で過ごそうと思っていたのに他の人がこれではがっかりしてしまう。書籍部で松下先生の『モバイルメディア時代の働き方』を買って帰る。

家では昼食を作ったり、放置していたメールを返しながら博論を少し進めた。書くことは決まっているような気がしているのだが、文章表現としてこなれたものが出てこなくて足踏みしている。

夕方、在宅ワークしていたしんさんに誘われて、もりしくんと3人で散歩に出かける。田端を案内しろとのことだったので、尾久二業地と寺温泉をめぐってきた。

しばらくは在宅で過ごそうと思うので、自炊モードに切り替わっている。ご飯を炊き、味噌汁を煮た。久々だなこの感じ。

わたるさんからディスプレイを返してほしいと言われたので、いい加減自分用のものを見繕って注文した。自転車といい仕事道具を揃える時期だな。一日に自転車で自宅と本郷を往復するくらいの運動をしておけば在宅でも鬱々とはしないだろう。

杉山