七月二十三日(月)

 9時くらいに目黒で起きて紅茶を飲む。エアコンの効いた部屋で二度寝したあとそそくさと出かける。田端に寄ってから本郷へ。コモンズインタビューを一件する。気づいたらもう7月も終わるのか・・・という感じである。文化政策学会のアブストラクトをまとめたかったけれどできなかったので明日やろう。統計分析を研究成果にするのは初めてなので必要な処理ができているのかよく分からない。相談しに行かないと。

 17時くらいにコモンズでらいちゃんと研究について話す。途中でミルくんに助言を求めたら自分とアドバイスの内容が真逆だった。対象への愛をまず駆動させて資料・史料を集め、学術的文脈への位置づけは後で行うのか、それとも学術的文脈をまず確定させたうえで、その文脈に一番そぐう形で対象を切り出すのか。対象を構成することと、対象への光の当て方を考えることはいずれにせよ両方やらねばならないけれど、どういう順序で進めるのかは研究室ごとに文化が違う。学問・概念に萌える自分としては後者の方がしっくりくるし、そういう意味でも山内研で水が合ったんだろう。個々の趣味の事例はもちろん面白いと思っているけれど、なによりもまず「趣味は学習によって面白くなる」とか「学習は趣味が行われる環境に埋め込まれて生起する」とか、そういう観点に対する愛がある。

 大手町に移動して19時半から写真インタビュー。前回から少し日程を空けて分析をしたおかげで、インタビューの質問が少し焦点化するようになった。とはいえ謎は深まるばかりである。「こういう画を撮りたい」という興味は具体的な画の構成要素を記述できるけれど、「予想しなかった画に出会いたい」というのは具体的な要素がブラックボックスだからこそ意味がある。そういう点でこの興味は「創造的」であるわけだが、こういう方向への興味の深まりを触媒する諸条件とは何だろうか。
 あるいは、strangerからの「like」や「コメント」を面白がる方向への深まりは?今日の方はその方向の重みはとても小さいと語っていた。今回のケースで「共同体のなかで画面構成への興味を深めたから、ネットワークを通してはフィードバックへ興味を深める」という論理は成り立たなくなった。つきつめたらパーソナリティ特性に持ちこむしかないのかもしれないけれど、この調査設計で問えるところまではやりたい。

 Facebookでの『リサーチの技法』の投稿に49いいねがついている。他の本だとだいたい15いいねくらいなのだけれど、すごい反響である。やっぱり研究法はニーズがあるんだな。こういうのは好きなので、『リサーチの技法』に載っているアカデミックライティングと『退屈をぶっとばせ!』に載っているようなアクティビティを混ぜながら中高生~大学初年次の探求学習を設計する、みたいなことは仕事にしていきたい。大学生の時にカタリバやっておけば良かったと思うけれど今になってしっくりきたことだし、これからやればいいか。

 杉山