三月五日(月)

 曇り。朝、パンを買いに行くと店主が出てきた。「パートのおばさんに暇をやってしまってこの先どうするんですか」と聞く気にはならなかった。
 
 雨。生暖かい霧雨は嫌いじゃない。人の気配が遠のいて、町の匂いが一番薫ってくる。通っていた小学校の裏庭の風景が浮かんで消える。
 
 調査の準備と論文の草稿。Atom+Markdownでしばらく書いた後、JSETのテンプレートに移す。学会誌の二段組みにはめてみると、一文の長さや英数字の使い方が気持ち悪いので手を入れる。そのうち馴染んだ見た目になってくる。
 
 いくつかのエディタを行き来しながら書くのは無駄が多い気もするが、そうやって色んな枠にはめていくと、テキストから余計な角が取れていくのかもしれない。ごつごつの岩石よりも、河床の丸石のような文章ができるなら、それは目指すものに近いだろう。
 
 強風。面白い飲み会が開かれたようで良かったな、と思った。
 
 [杉山昂平]