十月十二日(金)

9時に起きて、FFPの課題動画を見ながら紅茶を飲む。講師として高等教育に携わるようになってから、俄然、教育工学が面白くなっている。山内先生のMOOCの話と、栗田先生のモチベーション理論の話だった。興味は動機づけ変数なのに、これまで動機づけ理論を勉強してこなかったので、インストラクショナルデザインのARCSモデルとともに学んでいきたい。

14時前に本郷について、受験相談を受ける。大変面白い研究関心の方だった。彼をコモンズに案内していると、M1たちが読書会をしていた。こうやって新しい世代が学環で研究していくのを見るのは楽しい。あとでらいちゃんがニューヨーク土産をくれた。

マチュア写真家ライフヒストリーを少し編集したあと、神楽坂に移動してレジャースタディーズ研究会に参加した。「シリアス・レジャー」概念の紹介と、各研究テーマとの関連の検討。日本の文脈では「趣味」や「お稽古事」「部活動」、「積極的なレジャー」などの用語でばらばらと研究がなされているようだ。これらを「シリアス・レジャー」の概念装置を使うことで、体系的に整理できるかもしれない。例えば、「レジャー・キャリアの制度化」という観点から、お稽古事や家元制、部活動文化の特徴を抽出することができるだろう。レジャー・キャリアについては、欧米でもヨガ・インストラクターの研究などを見かけたことがあるので、それらと比較もできるようになる。あるいは、そこから反実仮想によって、「お稽古事の刷新」といったオルタナティブ、理論的可能性の追求も可能になるだろう。そうすれば、矢島愛子さんの「流派と「茶道団体」を横断する――若手社会人茶人と「伝統」の共存」論文とも関連づけられる。「真剣さ」がいかに取り扱われてきたのか、という問いを立てれば、余暇政策や「たしなみ」の言説史なども一望できる。真剣さをグラデーションとして捉えようというDavid Scottの論文もあるので、「シリアス化」(あるいは recreation specialization)を観点として使うのも便利かもしれない。

宮入さんに「本の一章を書いてよ」と言われたことを真に受けて、シリアス・レジャー概念による趣味関連研究の体系化を図っていきたい。