八月十五日(水)

二週間ぶりくらいのシェアハウスだけど杉山の出発と完全に入れ違いなので、いつものまれびとと少し雰囲気が違う。

昼過ぎまで寝られるかな、と思っていたけど、結局九時くらいに目覚めてしまった。SNSを見たり、和室でごろごろと漫画を読んで午前中を過ごす。『バイトくん』みたいな大学生活を送りたかった。

昼前に家を出て、新宿へ。ブックフェアへ行くのだ。パンフレットだけもらい、結局買い物はしなかった。
東京に戻ったときに本を買おうとすると、どうしても重さを考えて躊躇してしまう。

紀伊国屋のすぐ隣にある新宿ピカでリーで映画を見る。ケイト・ブランシェットという女優さんをはじめて知る。映画の中では革ジャンとかスラッとしたパンツとかをはいていて、ひたすらかっこよさにうおーとなったけど、ほかの映画の出演画像を見るとドレスも似合えばスーツを着ていて、そっちもそっちで似合う。いろんな方面で美しさを発揮できる人だった。

夜、大学院の先輩と飲む。こっちが無理を言って付き合ってもらった。三時間ほど、研究のことやコミュニティのことを話す。
なんだか回顧的なモードになって、院の中で楽しかったこととか昔のゼミのこととかを話したりしていると、先輩がぽろっと「もう数年したらあまり会うこともなくなると思う」「新しいコミュニティを見つけたほうがいいかも」と言ってくれたのに、ちょっと戸惑って、戸惑っている自分に衝撃を受ける。

自分がいない間にも院のコミュニティは変わってて、それは自分がいたときと大きく様変わりしている。コモンズにいけば誰かしら見知った人が複数いて、他愛のない話をできて、お酒を飲んで・・・という感じが薄れていることをあらためて突きつけられた。この数ヶ月、自分のおかれた状況への認識がアップデートされていなかったのは自分だけだったようだ。

かつていたコミュニティの人たちが、そろそろそれぞれの道を歩みだしていて、ちょっとずつ人と人の関係も変わっていって昔のコミュニティの感じがなくなっていく、ということへの寂しさをはじめて感じている。こういうのは、たぶん高校の卒業式とかで真っ先に味わうものなんだろう。幸か不幸か、それを八年遅れくらいで味わっている。

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