八月十四日(水)

 記すことが多い。早朝に目覚めて母方の祖父母と墓参りに行く。朝食を食べた後に車を出して父方の家へ。病床の祖父はかなり細くなっており、祖母は寺の「永代供養」新造納骨堂に収まっていた。父から祖母が亡くなる三日前に祖父と話している動画を病院の駐車場で見せられたが、言語不明瞭なのは明らかに祖父のほうだ。どうやらお互いに病気をねぎらって頑張ろうという話のようだが、祖父がその時に祖母の方に唇を突き出し、祖母が「やーね」と照れるところでこの二分ほどの動画は終わっている。まあ感動的と言えば感動的なのかも知れないが、普段の祖父のイメージからはかけ離れていたし、こういう動画を見たら余計に祖母が死んだ実感が薄れたのでどういう感想を持てばいいかわからずただただ当惑した。
 父の実家を訪れ部屋の整理をしてアルバムをみていた。横浜出身の祖母はモデルをしたこともあったということを初めて知った。葬儀会社が設えた彼女の遺影はいかり肩で違和感が残る。

 県立美術館の香月泰男の特別展に赴いて風景画を中心にポストカードを三枚選ぶ。列が折れた躍動感のあるデモの絵が気に入っている。その美術館で中原中也記念館のコンペについての展示を記した図録を偶然手にとった。こういう検証はすごくいい。

 湯田に食事に行ってから散歩した。カラオケは朝には空いていないということがこれほど残念だったことはないよ。シャワーを浴びてから寝ようとしたがなかなか寝付けなかった。明日は台風が来るらしい。とはいえ、生暖かい風が吹く温泉街は浴衣の観光客でそれなりに賑わっていて微塵もそんな雰囲気を感じなかったのだが。

 中川