五月一日(水)

 昨日、自転車を大学に置いて帰ったので地下鉄で登校するがてら、東京ソラマチ幾原邦彦展に足を伸ばした。押上は意外と遠い。ソラマチのなかでも迷いつつ会場に辿りついたら長蛇の列ができていた。飲食店であれば絶対に並ばない長さだ。客層は男性が3割女性が7割といったところ。こういう展覧会やイベントは他に並んでいる人を見るということが大事なのかも知れないと思うことにした。
 
 それにしてもソラマチは人が多い。最近はこういう人が多い場所に来ると身体的・精神的疲れを顕著に感じるようになった。そもそも自分の手の届くところに都会が成立しているという状況が好きなだけで、別に人が多い空間を好んでいるわけではないということを頭痛とともに考えていた。
 
 大学に行き、幸田露伴の『一国の首都』を読んでいた。「自覚」「理想」というあたりが気になる。どうやらこの時代には都市論がはやっていたそうだが、その流行りの広がりが掴めない。気づいたら雨が降っていた。傘を持ってきていないので帰れなくなった。雨雲レーダーによれば0時過ぎまで雨はやまないらしい。
 
 紙袋に大量に雑誌を抱えた角さんに会って雑誌の話を聞いていた。都築響一が失われる立石を嘆く記事を書いていた。
 図書館の書庫とか取り寄せサービスが使えないのが、まるでスマホ通信制限のようにストレスになっている。
 
 ここ数日、佐藤正午の『5』を読んでいる。ここ最近の喧騒に、人を食ったような津田伸一の筆致でどこか救われる思いがした。
 
 中川