三月四日(月)

10時に起きて紅茶を飲む。チュートリアル・オーサーシップ論文を読んで家を出た。田端で参鶏湯を食べてから本郷に出て、研究室で様々なメールの返信と週末の研究会の発表資料作成をした。半分仕上がったので明日で完成するだろう。

昨日から博論後のテーマはキット論だ、という腹落ちがある。取り組むべきテーマだという根拠がいくつも沸いてくる。

・趣味をはじめる段階に関わる。博論では長期的に趣味を深める過程を扱ったが、修士に入った当初は趣味を始める段階を扱おうとしていた。M0構想発表のタイトルには「成人のアマチュア音楽学習――未経験者はいかにして学習者になるのか」とある。

・学際情報学の専門性が発揮される。キットはインフォーマルな環境で機能する学習メディアであり、まさに山内研と水越研の重ねあわせである。業績を積めば、メディア・コミュニケーション系学科への就職が開ける。

・参加の足場かけと創造性の喚起をいかに両立させるかという、STEAM領域の中核にあるイシューに関わる。研究の意義が明白である。

・データが図像表象である。研究成果の見映えがするし、美術史や表象文化論との接点もつくりやすい。第二の博論として書籍にまとめるレベルで研究計画を立てるべき。サントリー学芸賞向きだろう。

エスノメソドロジーの先行研究が豊富にある。会話分析を含めてスキルを身に付ければ、協調学習の分析などにも応用がきく。来年以降の仕事に役立つ。生活史では年単位のスケールで分析をしていたが、秒・分単位のスケールで分析ができるようになる。

・ノスタルジーを喚起する。LEGOトミカ、切手、RPGツクールで遊んでいたあの頃が思い出される。道具のチュートリアルという観点で Whole Earth Catalog も系譜に位置づけられるようなので、カウンターカルチャーやサイバーカルチャーへの萌えも満たされる。

部活に関してもシリアスレジャープロジェクトの一環で共同研究の話が上がっており、集中講義の際に先生と「やった方がいいね」と話したテーマでもあるので良い気運である。向こう5年はこれで行くんだな、という謎に悟りを開いた感覚が降ってきている。

杉山