十月三十日(火)

 10時くらいに起きる。パンを買いに行きがてらsくんのクリーニングを引き取ってくる。パンと紅茶をとりながらゲンロンのゲーム特集号を読み直していたら、遊びは「勤勉なもので労働に適応する」という評価と「奔放なもので労働から逸脱する」という評価のあいだを揺れ動いていると書いてあった。これはGelberが論じる趣味の二面性と同じだ。「ヴァナキュラー文化」や「限界芸術」のように明らかに近代的正統性からの逸脱が志向されている概念と違って、遊びや趣味は一面では近代の論理を深く内在化している。だから、分かりやすい二項対立で近代批判をしたい人には不満かもしれないが、近代の内部で微調整をするには良い手がかりだと思う。趣味は。

 昼に出て、西日暮里から千駄木まで一駅地下鉄に乗り、そこから歩く。途中で往来堂書店に寄って『マンゴーと手榴弾』を求める。これまであまり「この作家のファン」みたいな人がいないと思ってきたけれど、単純に出会ってなかっただけだ。岸先生の生活史の本は出たら読みたい。沖縄の本はまだ手をつけていない。
 松本さんに『マンゴーと手榴弾』買うならどこで買いますかと聞いたらジュンク堂かtitleと言っていた。titleも良いなと思ったけれど荻窪は遠いので往来堂で間に合わせた。この本はそういう書店で買いたかった。

 研究室で写真家調査の分析を進める。趣味融合と刺激的隣人の概念がまとまりつつある。ロケーションを選ぶというモメントにおいて趣味融合する余地があるのは写真活動ならではだと思う。写真は人生のメディアだ。

 夜は駒場でフラメンコをして帰った。帰りの車中と家で第1章の「マンゴーと手榴弾」を読む。できすぎみたいな話だ。理論的主張には大変共感する。細かな情報の間違いはあっても、語りが「大部分において真」であるという点が言語化されて納得させられる。

杉山