九月十六日(日)

新宮で目覚めた朝は、山間の湿度と畳と温泉の香り、水の流れる音がする。加えて子犬ののびちゃんが朝5時頃にキュンキュン鳴いている。ちっとも寝られなかった。

朝八時半、ゆきさんについて木造校舎へ。各々の仕事を進めて昼前にbookcafe kujuへ移動。二年半近く来ていなかった。ガケ書房とコラボしてここの本はチョイスも素敵で空間はちょっぴりカオスでそして落ち着く。林さんとあきこさんのパンは本当に美味しい。こんなにしっとりした田舎パンを他に知らない。

昼下がり、これまた久しぶりの人と会った。わざわざ奈良から来てくれたみたい。続々と参加者が集い、NVCの入門編を始める。ゆきさんが言うように、フタを開けてみると人が集っていた。シリーズで継続するにあたって、この日本で一番東京から遠いのではないかと思われる場所へ大阪を経由してやって来た。交通費がなかなかの鬼門。

それでも、お世話になって来たこの場所で場を開けたことは、消費者やお客さんとしてではない自分として土地と繫がりなおしをするような時間だった。レベル感もちょうどよく、空気の育った時間。

フランスからのゲストをお出迎えした後、ゆきさんと車中で話す。愛情は三日、知恵は一生。人と人を紡ぐには知恵が必要だと知っている人や、そうあれる関係性に信頼が増すような会話と熊野川の夜を愉しむ。

帰宅次第お言葉に甘えて源泉掛け流しの温泉に先に入らせてもらった。廊下を通ると目の合うのびちゃんは、今日も何か言いたげである。

早めに布団へ。しっかりと疲れた。明日もこの場所でワークショップ。


ゆり