八月十六日(木)

清州の宿はやたら広い。昨日は先輩とソウルに寄って明洞で参鶏湯を食べるやら弘大でインスタ映えするフラワーカフェに行くやらしたのですぐ寝落ちた。7時半に起きて近くのコンビニでパンを買ってきて、ロビーのコーヒーと食べる。韓国では日本と同じ習慣が通用する。

 

9時半に集合してタクシーで忠北国立大学へ。今日からICoME 2018の開幕である。キーノートで教師・学生・リソース・成果物のダイアグラムで学習環境のパターンを表現する話をしていて面白かった。そうやって見ると「表現活動」(学生—リソース/成果物)、「小集団活動」(学生—学生—学生)といった場面ごとのダイナミズムのエッセンスや、人工物の役割がとらえやすい。そのうち使いたい。

 

構内のパン屋で昼食をとった後、13時半からポスターセッションでアマチュア写真家調査の発表をした。日中韓のオーディエンスに来てもらいありがたかった。「深まり」をどう判断するかに質問が集中して、その中でBloomのタキソノミーや深い学習のルーブリックと結びつけて「深さ」を段階化してみてはどうかとアドバイスされた。面白そうと思う半面、一意的な深さを設定すると「深くないといけない」状況になって嫌だなという気もする。今使っている定義はあらかじめ道筋を定義できない半面、多様な経験に開かれていると気づいた。

 

はじめての国際学会で英語の出来なさに打ちのめされて語学学習に打ち込むようになると思いきや、割とまあまあこなせてしまったので考えものである。東アジア+ハワイが構成員なので英語の速度も遅いし、なごやかだった。日常会話は日本語でだってできないし、逆に研究の話なら東アジア圏ならまあまあできるぽい。そこで楽しくやりながら習得するのが自分に合ってそうな気もする。

 

夜は岸先生の音頭に逃れられずJSETの先生方の集まりへ。サムギョプサルを食べた。鈴木先生と久保田先生の仲とか初めて知ったので興味深かった。隣の席の方と「初年次教育のレポートで、いかに学生の関心のもとに問いを立ててもらうか」を話した。新聞の見出しをバーっと読んでもらい、その中で気になるキーワードをピックアップしてもらうやり方をしているらしい。こういう話題ならJSETの人たちとも話せそうだなと発見だった。高等教育やプロジェクト型学習で興味をいかに引き出すかは、ふつうに自分の研究としても取り組みたいトピックである。ここ最近、「趣味人は興味に強く動機づけられた自己主導学習者」と言うようにしていて(今日もすんなり理解された)、その逆の状況にも目を向けたいと思っている。

 

杉山