三月二十九日(木)

  Sくんは体調が悪いらしいので日記のことは頭にないと思う。[註:2日後くらいに書いてました。]
 
 いつものごとく昼前に起き、掃除機をかけパンを買い、紅茶を飲む。今日は夏日だったらしい。初夏の陽気になるとようわからんけど江戸っぽいことがしたくなるので、ゆりちゃんとチャーリーくんと昼にうな丼を食べる。ランチで850円。良いでしょう。鏑木清方の随筆が読みたくなる。
 そのまま桜に誘われて上中里の方へ散歩する。尾久の操車場の辺りは線路に挟まれた空白地帯のようになっていて白昼夢の気分を味わえる。ポピーの花が咲き、犬が寝転がり、道端にベンチが置かれている。
 ふらふらと歩いているうちに踏切を渡り都電にぶつかったのでそのまま進路を変えて家に帰った。
 
 その後は本郷に行って髪を切る。短く刈るようになって分かったけれど、髪が伸びたという感覚は相対的なものだ。髪を切られながら、落第横町の昔話を聞く。前は中華料理屋とかがあったけどみんな跡継ぎがなくてやめたらしい。
 
 研究室で申請書の直しを少しして、今日は中野新橋に出てフラメンコ。心地よく疲れたので寝る。
 
 [杉山昂平]